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家族を在宅で看取る様子を身近で経験し「看護師になりたい」と決めた

看護師 小迫 陽

私は高校2年生のとき、在宅で家族を看取る経験をしました。肺がんが見つかり放射線治療や化学療法など病院でできる治療を行っていましたが、「最期は家で迎えたい」という強い希望から在宅での看取りが始まりました。病院にいるときより表情も穏やかになり、同じ空間で時間を共にすることで家族全員が充実した最期の時を過ごすことができました。もちろん家族みんなの協力だけでなく、訪問看護に来てくれた看護師さんによって家で過ごしやすい環境をつくられていたからです。昼間は学校に行っていたのでその在宅看護の現場を私はよく見ていたわけではないのですが、母から「看護師さんがこんなことをしてくれた」といった話をよく聞いていました。ですから進学を考える時期になって私が「看護師になろうと思う」と言うと、母は「いいと思う。がんばってね」と背中を押してくれました。

初めて拘束の日に救急患者が。落ち着いて対応できたのは先輩のおかげ

希望通り県立三次看護専門学校に進学。卒業したら病棟勤務で日々看護をしたいと思っていたのですが、新卒で配属されたのは手術室でした。実習でも手術室は見学をした程度でしたから最初は困惑の連続でした。解剖生理も学校で学んだものを基本にしてもっと学ばないといけないし、救急患者の対応などもしたこともありません。自分のせいで医療事故になったらどうしようとか不安ばかりでした。でもそう言ってばかりもいられません。目の前のことに一生懸命取り組みました。術後の患者さんのところに行って病棟の看護師が書いたカルテを読んだり、術式や麻酔の勉強をしたりで毎日が精いっぱい。一年目の後半にはいよいよ拘束も始まりました。いつ、緊急手術の呼び出しがかかるのか、緊張でいっぱいです。拘束初日の夜は、高まる不安と緊張の中、自宅で待機をしていました。緊急手術の呼び出しの電話が鳴り、不安と緊張はピークに達したまま病院へと向かいました。私でも、問題なく手術対応ができるのか・・・患者さんや医師・先輩に迷惑をかけることが起きないだろうか・・・・など様々な事柄が頭の中を駆け巡っていました。しかし、手術室に到着した時、「大丈夫。いつものとおりでいいよ」と先輩が優しく声を掛けてくれました。そのときに私の「スイッチ」が入り、落ち着いて拘束の役割を果たすことができました。この日のために日勤のときもコツコツとシミュレーションをして器械出しの手順を覚えてきたのです。3時間ほどの手術でしたがしっかりやり遂げることができました。これも日ごろからプリセプターや先輩方が優しく見守ってくださっていることと、いつ夜勤で緊急手術に対応することになっても私が慌てないでいられるように指導してくださったおかげです。

手術後の患者さんのホッとした笑顔を見たときに救われる気持ち

手術というのは患者さんにとっては人生で最大級の出来事です。とくに初めての手術となれば不安でいっぱいだと思います。手術前に不安で落ち着かない様子であたりを見回している患者さんがいたら手を握ったり、体をさすったりして少しでも不安が取り除けるようにします。手術が終わって麻酔が覚めて会話できるようになったとき「さっき手を握ってくれたので安心できました」と明るい顔で言ってもらえたときは手術室看護のやりがいを感じます。まもなく看護師になって3年目を迎えます。疾患のことなどまだまだ学んでいくこともたくさんあります。新卒で手術室に配属される人もいるでしょう。後輩にも私がしてもらったようにしっかりフォロー、サポートしていきたいです。この病院には「人を育てる風土」があります。私もそれを引き継いでいきます。